鏡花水月

キョウカスイゲツ

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

夏空の雲(二)

8月9日 戦争中に青壮年期を送った、いわゆる戦中派とよばれる人びとは、私の知る限り、戦争について語りたがらない傾向がある。誰しも大なり小なり、いやな思いをしたらかであろう。自分の戦争体験について語ることによって、いやな思い出を心の奥底からわ…

夏空の雲(一)

生命の所在 「言論の自由」ということを考えるとき、種々の法律は生きている人間に対してのものなのだと、改めて思わされる。事故、災害、戦争などで不意に死した人間は、死に際し言葉を残す暇もなかった。だが、近しい人の内に、死者が死後も語りかけてくる…

空を穿つ

果てのない問い 人間とは、自分の存在そのものに疑問を持つ生物であるという。しかし、そのことに自覚的に生きることは難しい。 自身の認識や行為その一々について、「そのように思う、そのような行いに及ぶお前は、一体何者なのだ」という鋭い刃物の切っ先…